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国土の3分の2が森林で覆われた日本において、林業は近年衰退の一途を辿っています。林業従事者の高齢化や木材原価採算の悪化が主な原因とされ、大きな課題とされています。
今回のイベントでは、岡山県西栗倉村での森林信託事業を開発し日本の自然資本を有効活用する取り組みを行っている三井住友信託銀行株式会社 風間篤様に加え、不動産アセットマネジメントに長らく従事され現在はバリューアップ手法として木質材活用を検証されているみずほリアルティOne株式会社 越部泉美様にご登壇いただき、木材利活用をテーマにしたパネルディスカッションを開催しました。今回のディスカッション内容を参考にし、当社においてもさらなる木材利活用検討を進め、社会ニーズに適応した事業を展開してまいります。
<登壇者概要>
■ 三井住友信託銀行株式会社 フェロー役員 地域共創推進部 主管 風間 篤 様
同社で取り組む地方創生事業や森林信託事業の概要や岡山県西栗倉村での具体的な取組みについて説明していただき、木材利活用や産業が抱える課題などについて情報提供いただきました。
■ みずほリアルティOne株式会社 サステナビリティ推進部長 越部 泉美 様
「木造ハイブリッド建築によるエンボディド・カーボンの削減」をテーマに、不動産私募ファンドスキームにおける取り組み事例を説明していただき、ESG投資など市場ニーズなどに踏み込んだ情報を提供いただきました。
■ 株式会社奥村組 投資開発事業本部 新事業開発部 新エネルギー・電力事業開発課 課長 大矢 好洋
当社で運営している木質バイオマス発電事業内容や課題について説明し、国産材のメリット・デメリットなどをテーマとしてディスカッションに参加しました。
■ 平田村バイオマス発電事業
「福島平田村バイオマスパワー 1号発電所」および「同2号発電所」(発電出力1,990kW×2機)は、当社初の木質バイオマス専焼火力発電所として、1号発電所は2022年5月より、2号発電所は2023年4月より福島県平田村にて営業運転を開始しました。燃料には、福島県および近隣県の林地から発生する間伐材等由来の木質バイオマス(未利用材)から作られた木質チップを使用し、年間の発電量は約29百万kWh(一般家庭約9,300世帯分に相当)を予定しています。本事業は固定価格買取制度(FIT)を活用した長期にわたる事業であり、安定的な雇用の場の創出や、未利用森林資源の活用による森林整備の促進、林業の振興などによって地域社会の活性化に貢献していきます。
■ 石狩バイオマス発電事業
「石狩新港バイオマス発電所」(発電出力51,500kW)は、当社として2ヵ所目となる木質バイオマス専焼火力発電所として2023年3月より北海道石狩市にて、営業運転を開始しました。燃料には、木質ペレットやPKS(パーム椰子殻)といった植物由来の再生可能なエネルギー源を燃料として使用し、年間の発電量は約3.6億kWh※1(一般家庭約11万世帯分に相当)を予定しています。
これら植物由来の燃料は、燃焼により二酸化炭素を発生させるものの、成長過程において光合成により大気中の二酸化炭素を吸収することから、カーボンニュートラルな資源であるとされ、本事業では年間約19.2万t※2の二酸化炭素の削減効果が期待できます。
当社は脱炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギーを活用した事業を積極的に推進するとともに、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
※1 1世帯あたり 3,266kWh/年で算出(出典:北海道消費者協会「令和 3 年度 北海道家庭用エネルギー消費実態調査」)
※2 CO2排出係数0.533kg-CO2/kWh(2021年度)で算出(出典:北海道電力(株)HP)